第53章 本気で想う大切な人
「間抜けな顔」
「ふぎゃ」
「おいおい、もっと変な顔になってるぞ」
「じゃあこうしよう」
「ぐっ……なんで私の顔で遊ぶの…」
どうしてこんなことになっているかと言うと。
……どうしてだっけ?
「ウルちゃん!!!!」
「ん、誰か来たぞ」
ここは住宅街が近くにある神社。
こじんまりとした雰囲気には似合わない大きな鳥居から、男の人と子供が2人走ってくる。
(ウルちゃん…ってことは、ウルハの知り合い?)
私の予想はドンピシャ。
男はウルハの前で膝に手を置き、息を整える。
「皆どうしたの?」
「どうしたって…こっちのセリフ!全然帰ってこないし、なんで怪我してんの!?服だってボロボロで……」
ウルハは子供の片方を抱き上げながら、男のマシンガントークに頷く。
「あれ、鈴木さんの家族かな」
「しゃけ」
か、ぞ、く。
「家族!?」
「「「「…」」」」
「…知らなかったんすか?鈴木さん、結婚してますよ」
ボロっボロの体の恵がぶっきらぼうに言い放つ。
「ちょ、ちょ、ちょ、ウルハ!!!!!」
左足を気遣いながら、けれど不自然にならないように動かして、ウルハに近づき肩を叩く。
「あんた結婚してんの!?」
「…そうですけど」
私の声が響いたのか耳を押えながら、ウルハは左手を前に突き出し薬指に光る指輪の存在を強調した。
「子供いんの!?」
「…いますけど」
6歳と4歳。
「…」
「……ああ、先輩、子供苦手でしたっけ」
違う、そうではなくて…。
「この人達だぁれ?」
「お母さんのお友達」
「ふぅん」
言葉が上手く出てこない。
「おかーさん、服ばっちい〜」
「そうだね。今日の昼は何を食べたの?」
「えっと、スパゲティ!」
「いいじゃん、美味しかった?」
「うん」
……え、まじ?