第52章 不如意
「こ、殺さない」
「えっ!?何で!?」
本気で驚いているのか…?
──ちゃんは目が飛出てしまうくらいに顔を広げた。
「そーいうのって優しさじゃなくない?」
ひと回りもふた回りも会話を先取りする──ちゃん。
やっぱり、私が断ることくらい分かっていたみたい。
「いいんだよ、我慢しなくて。私は千夏ちゃんのぜーーーんぶを肯定するよ?」
「一緒にやっちゃおうよ♡」
「心配しないで。色々と下準備はしておいたから。あーとーは…千夏ちゃんが領域展開するだけ」
──ちゃんが間違っていることは分かっているけれど。
「殺人と敵討ち……事実は殺人でも、真実は違うよぉ?」
どうして私は奪われるだけなんだ?
「100人に聞いたら、全員がコイツが悪いって言うはずだよ!」
どうして私は…奪われるだけなの…!?
「…──ちゃん」
「ん?」
ニヤニヤ、ニヤニヤ…。
──ちゃんは楽しそうに笑っている。
「やろう」
少しくらい、私にも…こいつを罰する権利はあるはずだ。
「但し…もう少しだけ考える」
「うん!取り敢えず、展開、展開♪」
自分が間違っていることは分かっている。
それでも思ってしまう。
やっぱりこの世界は────
私に優しくない。
「領域展開は私が教えてあげるからね!まずはぁ…こーやって!」