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【呪術廻戦】infinity

第52章 不如意




そんなことを言われても、男には意味が分からないだろう。
顔がそう言っている。


当然だ。
あれから何年経ったと思ってる、20年以上が経過してる。


当時の私は3歳程度。
面影ひとつないだろう。


「なっ…んで、俺…」
「目の前の女の子見て、何も思い出さない?」


男の目がもがきながら、ギョロりとこちらを向く。
ゴスロリの手が首にくい込みそうだ。


「…知ら…なっ」
「うっそだぁ。それは失礼だよ〜…」


ゴスロリが手をパッと離すと、男は砂利の上でゴホゴホとむせ返った。


「24年?5年?ぶりの再会に拍手ぅ〜!」


ゴスロリは傘を拾ってレースに包まれた手を何度も叩いた。


「…」


男の視線が痛い。
気づいて欲しい自分と、気づいて欲しくない自分。


「ったく。千春ちゃんも酷いよね。あ、そうそう、あれ全部嘘だったんだよ?」


ゴスロリが私の肩に手を置く。


「死刑になった訳でもないし、そもそも捕まってないの」
「……そ、なの?」
「そうそう!だからここにいるんだよ……ねぇ?」


ゴスロリの顔の動きに従って、私も男を見た。


「…」


そこには先程までとは違う、間抜けな顔が。


「千春…って言ったか…?」
「あ。口が滑っちゃったなぁ〜」
「…まさか」


男が私を指さす。


「…千夏?」


名前を呼ばれた瞬間。

私の中でプツンと…何かが切れた。




















そして、気がついたら目の前で男がのびていた。


「大丈夫だよ〜。死んでないし、誰にも見られてないからぁ」


その瞬間、自分がとても怖くなった。
怒りに飲み込まれた自分をコントロール出来ないなんて…。


「と、まずは〜…」


ゴスロリが私に勢いよく抱きついてきた。


「久しぶり♡」


けれど、私はそれから逃げるように体をよじる。


「なんでここにいるの…」
「この間会ったじゃん!ほら、病院で!」
「…会ってないよ」
「あれ?記憶なくなってるのぉ!?ショック〜!!」


ぷんすかぷんすか、と。
ゴスロリ……───ちゃんは可愛く怒った。


「この前は急だったからあれだけど、今日はお洒落してきたんだよ?」
「…」
「可愛い?ねぇ、可愛い?」


可憐に回る──ちゃん。


正直、このテンションについていけない。


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