第43章 優先順位
「もう約束破るのかよ…!」
「一緒にねーるーの!」
「だからっ…!」
この馬鹿力!
本当に女か?
「一人で寝れねーのかよ…!」
「寝れるもん!でも、五条君と寝たい!」
この言葉を数年後にもう一度聞いてみたい。
絶対に押し倒す自信がある。
「だーかーら、俺は男で…!」
「知ってるよ!でも…」
千夏が服を離した。
「…でも、離れたくない」
気づいたらベットに腰を下ろしていた。
なんて素直な体なんだろう。
「それ、他の男に言ってたら、千夏やばいことになってたよ」
「五条君にしか言わない」
「…あっそ」
そうしてくれ。
俺以外に言うな。
「とにかく、早く寝よう」
「五条君もベッド」
「分かったから」
負けたよ、負け。
俺がベットに横になると、千夏は先程のようにピタッとくっついてきた。
換えの服がないから制服のままで、ある意味興奮するけれど、流石に手は出せない。
我慢。
我慢。
正直、今では理性を捨てて抱いておけばよかったと思っている。
いや、だって。
無知の状態で抱くとか、めっちゃ興奮するじゃん?
夜中に何度目が覚めても我慢した過去の僕を称えたい。
(あ、やば。抱きてぇ…)
別れを選んだからには、体の関係もスパッと切らなくてはならない。
体だけ繋がるなんて、別れを切り出した僕からしたら罪悪感しかない。
でも、欲だけは着実に溜まっていく。
『なぁ…か……中、ちょぉだい』
ラストの行為は最後だからと割り切ったわけで。
思い出すだけでしばらくいける。
「顔、本当にキモイ」
「欲求不満なの」
「はぁ?みんな来る前にそのふざけた面、直しなさいよ」
呪術界が荒れていなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。
そんなことを考えてみたけれど、虚しくなるだけだった。