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【呪術廻戦】infinity

第40章 宵闇



朝。

横向きで目覚める癖がついていて。

毎日広いベットを見て悲しくなる。



朝ごはんは絶対に取らないとダメ、とうるさく言われることも無く。

栄養バーを口で咥えながら、携帯でニュースを確認。

そういえば、初枝さんから1度帰ってこいと言われたことを思い出して、今日の予定に空き時間を設けた。



高専から支給されている真っ黒の服。

着替えながら、ふと思う。

あれ、今日は声をかけてこないのかな。

見慣れたはずの僕の裸に興奮する人は?


ああそうか、と。


この1人っきりのやり取りにも、もう慣れた。



「…いってきます」



ちょっと待って、いってきますのキスは?、と。

女とは思えない馬鹿力で腕を引かれることもなく。

僕は慣れない朝を強制終了させる。



「おっはー」

「おっは!」



僕がいくら悲しんでいても。

怒っていても。

楽しんでいても。

やることは同じ。



「悠仁〜。今日はいつもと違うよぉん」

「えっ、何何!?」

「今日は…」



でも、やっぱり。

どんなに自分を偽っても。

本心には勝てない。



「せんせ?」

「…あー、ちょっと待ってね。電話だ」



鳴ってもない電話を取り出して、悠仁から距離をとる。



「あ、もしもし?」



誰とも繋がっていないけれど。

声が震えないように気をつけて、精一杯声を張る。



「うんう…ん」



やめてくれ。

今、その笑顔を見せるな。

見せないでよ、千夏…。



”さ、と、る!”



”ねっ?少しだけだから…”



”ふふ…。嬉しい!”



”じゃーん!これ、悟に似合うと思ったんだ〜”









「おっけー、ばいばーい」



本当に良かった。

僕の判断は正しかった。



「お待たせ!」

「全然!それで、今日は?」

「今日はね…特別講師を用意しちゃいました!」



今の状態で誰かがいる環境は厳しい。

1人になりたい。

とてもじゃないけれど、悠仁とはいられない。



「えっ、誰?」

「今からそこに行きまーす」



早く一日を終えたい。

かといって、1人寂しく眠りにつくのも望まない。

早く彼女と話したかった。

彼女の温もりが欲しかった。


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