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【呪術廻戦】infinity

第39章 咲かぬ桜



「んで。今日はどこに行くの?」



つまらそうに向こうを見ていた傑の背中に声をかけた。

振り向くと、優しく笑う傑の顔が見えて。

私も自然と笑顔になった。



「実は私の大切なものを一緒に探して欲しくて」

「…私、捜し物下手だよ?」



小さい時から視野が狭いのか、探し物が苦手だった。

これってどこ?と、悟や千春に数え切れないほど聞いてきた。

結局自分の近くにあったり、探したはずの場所から発見されることがほとんど。

最近では「〇〇がなーい」と言っても、誰も手伝ってくれない。



「千夏は居てくれるだけで構わないよ」

「場所は分かってるんだ」

「そう。でも、具体的な場所は分からないから、一緒に探して欲しい」



あまり意味が分からなかったけれど、現場について理解した。

入り組んだ道を進んで、その奥に洞穴のような場所があった。

そこの奥にあることは分かっているけれど、どのようにして進めばいいかは謎だという。



「っていうか、ここって高専の所有地じゃない?」

「そうだよ」

「傑、ここにいていいの?」

「バレなければいい」

「…あっそ」



バレなければいい。

何とも聞きなれた、傑らしい言葉だ。



それにしても、とても怪しい場所だ。

古くて汚れた御札が貼ってあり、元呪言師の私から見ればだいたい保管されているものの強度が分かる。



「本当にこの中に傑の大切なものがあるの?」

「まぁね」

「…大切なものって?」

「簡単に言うと器のようなものだね」



器。

よく分からない。



「それっt…」



それって何?

そう聞こうとしたけれど、それより先に傑が話を振ってきた。



「器といえば。宿儺の器は本当に死んだのかい?」



思わず足が止まった。

傑は気にせず中へ進んでいく。

慌てて後を追いかけた。



「死んだよ。虎杖悠仁のこと、知ってたんだ」

「まぁね」



そこ滑りやすいから気をつけて、と言った傑は小さな沢をひょいと飛び越えた。


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