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【呪術廻戦】infinity

第38章 心臓


*****


「はよ起きろ、バカ」



目覚めは最悪。

野薔薇の蹴りがおしりを直撃した。

夢で得られたであろう、謎の高揚感だけが私の救いだった。



「真希先輩たちに呼ばれてんの。早く出てけ」

「あー、交流会の?」

「そ…」



ドンドン!



「野薔薇ー」



声を聞いた野薔薇は口をへの字にして、来客を出迎えた。



「おせーぞ。まさか今起きたんじゃねーだろーな」

「私は起きてましたよ。でも、あっちが…」



死角から顔を出すと、親指をこちらに向けた野薔薇と、いつも通りの真希がドア付近に立っていた。



「なっ…!?千夏さん…!?」

「やっほ〜、真希」

「帰ってきてるなら連絡くださいって」

「んー、ごめんごめん」



野薔薇は毛虫でも見るような目で、こちらを睨む。

私が真希と話して何が悪いというのか。

どうせ”お前が慕われてるとかないわー”的なことだろう。



「今日は暇なんすか?」

「ごめーん。今日は予定が…」

「真希先輩、真希先輩。こいつ、浮気してんすよ」

「野薔薇!それはないって言ってんでしょーが」

「冗談だろ」



着慣れたショートパンツに、ダボッとした大好きなキャラクターのTシャツ。

軽く化粧をしてピアスをつける。

今日は猛暑ということで、真っ黒の長い髪の毛は後ろで1本にまとめた。

首にループタイがかかっていることを確認して。



「じゃーね。また泊まりくるよ」

「来んな」

「千夏さん、また…」

「うん。時間取れたら真希に連絡するよ」



こうして、私は寮を離れて高専の車を無断で拝借。

これが初めてではないし、怒られたこともないので、特に断りはいらないと判断。

しばらくノリのいい曲を聴きながら車を走らせ、山梨県のとある場所に車を停めた。



「おはよう」

「おっはー。その格好、暑くないの?」



車はここに置いて、私の質問を無視した男の呪霊に乗って移動。



「ちょっと…」

「ん?」



男に抱きついて、心臓の音を聞く。



「なんだい?」

「…ううん、何でもない」

「…しばらくこうする?」

「…お願い」



やっぱり生きてる。

傑は幻じゃない。

大丈夫。

彼は生きてる。

ここに存在してる。



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