第5章 空蝉
結局、呪霊に会うこともなく無傷な硝子と冥冥さんと再開。
私と歌姫のドラマティックな会話は杞憂となった。
「冥冥さん。任務終わったから、すぐに東京に帰るよね?」
冥冥さんは電話片手に頷いた。
「そんなに帰りたい?観光しないのー?」
「早く帰って五条に会いたい。あ、傑とも」
「ほんっっ…と大好きだよね。一生かかっても理解できない」
歌姫と硝子の手を引っ張って歩く。
早く学校に帰って、皆と会って、ゆっくりお菓子でも食べたい。
〜〜〜🎶
「えっ、五条からテレビ電話かかってきたんだけど!?えっ、どうしよう…!」
「早く出てあげなよ」
一応、任務の後だから、それなりに髪の毛はボサボサだし、肌も汚れている気がする。
鏡を持っていないことが悔やまれるが、硝子に前髪だけ直してもらった。
そして、発声練習。
「らーらーらー」
「うるさい。早く出なって」
何の用だろう。
ありとあらゆる憶測が頭を飛び交う。
「なにー、どうした?」
期待していたことがバレないように、普段の声色を意識する。
『やっほー、元気してるー?』
画面に写ったのは、五条と傑と、女の子。
制服を着た女の子。
『前髪!黒井が乗ってたやつ出せ!』
傑が女の子のほっぺたを引っ張る。
今にもちぎれそう。
だ、大丈夫だろうか。
「遂に犯罪に手を染めたっていう報告?」
『違う違ぁうー』
「じゃあ、これから手を染めるっていう報告?」
『あのさ、俺達のことどう思ってるわけ?』
2人のことは大好きだ。特に五条。
でも、硝子と歌姫には賛成する。
こいつらは紛れもなく人間性がない。