第4章 祓う者と殺す者
「なんかごめん、傑」
あまりにタイミングが良すぎて、傑の話から逃げたようになってしまったことに、居心地の悪さを感じていた。
「別にいいって。あのまま居ても、きっと千夏は話してくれなかっただろうし」
「…いつか言うよ」
傑の後に部屋を出たのは五条。
彼は私と傑の会話に入ってきた。
「何の話?」
「今日の任務のことだよ」
この話は五条に知られたくない。
私の思想の方ではなく、傑にされた質問の方。
だから、去りゆく傑の背中を見て感謝の意を念じた。
「だから、それが何の話かって聞いてんの。脳みそ赤ちゃんですかー?」
振り向かない傑を威嚇する五条。
「ったく。んで、何の話ししてたの?」
傑が無理なら、私に来る。
分かりきったことだった。
「酷いことする人とは話したくない」
「話し方」
「……話したくねーって」
まぁいいや、と五条は言って傑を追いかけた。
去り際の彼の目は忘れない。
怒りながら悲しんでいる目だった。