『【呪術廻戦】infinity』第29章「不穏状態」 378ページ - 夢小説(ドリーム小説)が無料で楽しめる -ドリームノベル- [スマホ対応]
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【呪術廻戦】infinity

第29章 不穏状態



「ざんねーん…」

「楽しみにしてたのにね」

「う…ん」



よしよしと頭を撫でられると、余計に気分が沈む。

今日は呪術高専の入学式(仮)だったのだが、入学したのは恵のみ。

予定人数は2人だったけれど、もう1人が何らかの理由で入学を先延ばしにしたらしい。

書面上は入学しているけれど、実際に東京に来るのはもうしばらく先だという。



「拉致してくれるなよ」



学長が真面目な顔をして、忠告してくる。



「そんな事しないよ。入学が取り消されたら考えるけど」



あの子は私のことを嫌っている。

東京に来たがっていたことだから、自分から入学を取り消すことは無いだろうけど、私が無理矢理連れて行こうとすれば、万一の可能性がある。



「どこか行くの?」

「上に頼まれて、ちょっくら任務に」

「へぇ。行ってらっしゃい」

「アデュー♡」



刀1本背負って、飴をひとつ口に放り込む。

昔ほど過剰に反応しなくなった悟と、人形を作っている学長に手を振って、高専を出た。

冥々さんの新しい番号を打ち電話をかけると、待ち合わせ場所に既にいると言うので急いで向かう。



「きゃー、冥々さん!会いたかったぁ」



私がどれだけ媚びても、冥々さんは顔を変えない。

相変わらずの嫌な笑顔に寒気がする。



「会うのは久しぶりだね」

「連絡はしてたのにね」



冥々さんに腕を絡め、予約していたタクシーに乗り込む。

高専の車を利用したいところだけれど、生憎私は運転ができない。

補助監督を連れて行きたくないし、冥々さんに運転させるわけにはいかない。



「あれ、なんだっけ。憂憂くん?今日はいないの?」

「千夏と会う時は連れてこないことにしてる。口説かれたら困るからね」

「そんな事しない!私をなんだと思ってるのさ」



冥々さんとはずっと連絡を取り合っていた。

何故なら、冥々さんこそが私の存在隠蔽に肩入れしてくれ、色々な面で支援してくれていたから。

このことは2人の秘密。

上は冥々さんが私を殺すためにタイミングを待っていると思い、悟達は冥さんと繋がっていることすら知らなかった。

上は冥冥さんの嘘に気づきながらも手を出さなかったというが、その詳細を私は知らない。

今更掘り返すのも怖いし、この平和を保とうと思う。
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