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【呪術廻戦】infinity

第28章 初枝さんの思惑


*****


毎日尋常でない量の桜の花びらが舞い散るというのに、この庭は毎日とても美しい。

庭師がとても優秀みたい。

そんな努力が詰まった庭で、私たちは談笑していた。

向こうでおばばに見られてるとは知らずに…。



「てかさ。よく侵入したよね」

「だって、悟に会いたかったんだもん」

「近所で見かけただけなのに?」

「そのキラキラの目に魅了されちゃったんですー」

「ははっ。ほんとに俺の目が好きだね」



私は他の人が悟の目を見てもなんとも思わないことが、不思議でたまらない。

私なんか、たった1度すれ違っただけなのに、この屋敷に侵入するほどの衝動を得たというのに。



「ほんと…。俺が気づく前に誰かに見られてたら終わってたよ」



悟は作りたての花冠をクルクルと回して、懐かしそうに想いを寄せていた。

私もあの頃のことは鮮明に思い出せる。

私の人生を変える出会いだったから。


それから、何度も侵入して、追い出されて。

それでも、侵入し続けて。

私はいつも彼の名前を呼んだ。



「ごじょー……あっ」



一瞬の沈黙の後、私と悟の笑い声が同時に湧いた。



「くく…あはは!何、その声……!」

「ふっ…ははっ…!」

「全くっ、可愛くっ…ねぇ…!ひ〜!」

「ひっどいなぁ…あはは!腹痛い…!!」



妙に私の声がツボに入ってしまい、2人して息が枯れるほど笑った。

いつも通りのくだらない会話と、くだらない笑いで、私達はこの上ない幸せな時間を噛み締めた。

そんな私達の日常は、誰かが奪っていいものでは無い。

誰かが奪えるものではなかった。



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