第4章 祓う者と殺す者
「それじゃあ…。入るよ」
「「「はい」」」
入道雲ひとつから懐かしい過去を思い出した。
あの時のことを少し後悔してたり、してなかったり。
早く歩かないと冥冥さんに殺されるかもしれないから、1度考えることをやめた。
「冥冥さん、質問」
「なに?」
「なんでこのメンバー?歌姫と冥冥さんなら分かるよ。この前も浜松行ってたでしょ?私と硝子はどうして突然連れてこられたの?」
冥冥さんは微笑んで、もう少し詳しい説明を求めてきた。
分かっているくせに。
歌姫の説明通りなら、4人も要らない。
冥冥さんがいるだけで、ほとんどの任務は安全安心、速攻クリア。
そう伝えようとした。
けれど、伝えられなかった。
「千夏、右!」
「分かってる…よっ!」
数が多い。
級数は高くないだろうけど、数が異様に多い。
「硝子達、大丈夫かな」
「冥冥さんいるから平気」
「そうだね」
硝子と冥冥さんとも離れてしまい、私と歌姫の周りには呪霊が沢山。
こんなにも数が多いと、呪具だけで突破するのは難しそうだ。
歌姫にも『術式!』と何度も叫ばれている。
人前であまり披露したくないのだけれど、仕方ないか。
「歌姫、一旦離れて」
「うん」
歌姫を私の後方に移動させ、私に呪霊が集まるような隊形をとる。
「s……」
「おおか、ああさん」
呪霊が声を発した。
「ちょ、千夏!?」
後ろには歌姫がいる。
私は1人じゃない。
「何してんの、早く!」
勝手な行動は許されない。
それでも。
呪霊を無視するなんて哀しい真似はできない。