第25章 長引く姉妹喧嘩
あの目立ちたがりが前線に出てこない??
京都の方か??
なら、何かしら連絡があるだろ
「なんでもない。どうした?」
「こんな時にとは思いますが、早い方がいいかと。以前調査を依頼された乙骨の件です」
その時、ポケットに入っていた紙が動いた。
手を突っ込むと、まっさらな紙が綺麗に真っ二つになっていた。
それと伊地知の報告が絡み合い、千夏の含み笑いを作り上げ脳内再生された。
「パンダ!!棘!!」
「どうし」
「質問禁止!!今から2人を呪術高専に送る」
不安と不安が混じりあって焦りを生む。
「夏油は今高専にいる。絶対、多分、間違いない」
「どっちだよ!!!」
紙が独りでに破れたということは、对となる紙が敗れたということ。
つまり、千夏が夏油と鉢合わせたということ。
千夏は新宿に来る予定だったが、ここにはいない。
今、あの方向音痴は高専と新宿の間にいるはず。
普通に考えればそうなる。
「勘が当たれば、最悪、憂太と真希、二人死ぬ!!」
勘が当たれば、というか、絶対に当たる。
何故、千夏はこの忙しい時に、会う必要のない残りの1年に時間を取ったのか。
千夏はわがままだけど、優先順位は間違えない。
「アイツも多分、間違いなく高専にいる」
「だから、どっちだよ!!それに、アイツって誰!?」
「でも、あまり当てにするな。きっとアイツの助けが来るのは、死なない程度に痛めつけられてからだ。僕もあの異人を片付けたら、すぐに行く」
夏油が高専に来ることを知っていたなら、憂太を狙っていると知っていたなら、何故報告しなかった。
いや…。
報告してたのか。
「二人を守れ。悪いが死守だ」
「応!」「しゃけ!」
大丈夫だ。
千夏を信用しろ。
千夏がいるなら、誰も命を落とすことはない。
絶対に、ない。