第21章 紡いだ新たな線
長い話が終わった頃には、既に深夜に突入していた。
にも関わらず、電気ひとつ付けずに、私達はソファーに並んで座っている。
電気を付けなかったのには、深い理由はない。
付ける流れがなかったというだけ。
「まだまだ話は続くけど、そろそろ眠たくなってきた」
「え、徹夜覚悟じゃないの?」
「今日沢山動いたも…ん」
欠伸をして、頭を後ろに提げた。
顔に血が集まるのを感じる。
「ねーねー、お風呂貸して?」
「いいよ。僕も入る」
「もう入ったんじゃないの?」
「ほら、バンザーイ」
忘れているかもしれないが、私は相当酔っている。
話をすれば酔いが覚めると思ったが、それほど効果はなかった。
だから。
私が悟の前で大人しく手を挙げたのは、思考が鈍っていたせいだ。
「可愛い下着だね」
「ありがと」
「期待してた?」
「何を?」
「…それ、天然アピール?」
「は?」
「…何でもなーい」
上だけでなく、下もスルスルと脱がされていく。
「や-だ。見ないで」
「いいじゃーん。まだ下着つけてるし」
「その基準おかしい!」
下着だけ残されて、肌がスースーする。
普段外気に当たらない部分が露になって、違和感を訴えている。
「目がおかしい!」
「え、なにがぁ?」
「お、お風呂に入るだけなんだから!」
明らかにさっきまでと雰囲気が違う。
10年前にもこの目を見たことがある。
野性的な狼の目。