• テキストサイズ

【呪術廻戦】infinity

第17章 バースデーカード



強くあれ。

誰にも負けないように。



「久しぶり、冥さん」



強くあれ。

大切なものを守れるように。



「…ふふ。嫌な笑顔をするね」



強くあれ。

二度と大切なものを失わないように。




長い髪を下げた冥さんの前に腰を下ろした。



「大した用じゃなかったら、許さないよ?」

「大丈夫。時間もないし、単刀直入に聞こう」



余裕ぶっていられるのも今だけさ。

俺はこの日をずっと待っていた。







「八乙女千夏の居場所を教えろ」








喫茶店の注文ベルが鳴った。






「懐かしい名前だね」



冥さんがコーヒーをすする。



「夏の暑さで頭がおかしくなったのかい?」

「冥さん、冥さん。残念ながら、無駄な話に付き合う時間はないんだよね~」

「無駄な話を始めたのはそっちじゃないか」



冥さんのメニュー表を取ろうとした手を押さえた。



「どれが無駄な話だって?」

「自明」



腕を引っ込めて不気味に笑う冥さん。




「八乙女千夏はとっくに死んだろう」




俺も笑う。




「記録上はね」




俺が頼んだシフォンケーキが届いた。

フォークで押さえると跳ね返ってくるくらい、ふわふわだった。




「俺は信じてない」

「ふふ。今更何を」



別に今でなくてもよかった。

十年前から今日までの間、いつでもよかった。



「ここ何年か連絡を取ろうとしたんだけど、どうも避けられてるっぽくって」

「故人を思うのは悪いことではないけれど、少し妄想がすぎるんじゃないかな」

「妄想?何言ってんのさ、冥さん」



気が付けば、身を乗り出していた。









「冥さんは知ってるはずだ。あいつが今、どこで、何をしてるかを」





/ 1115ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp