第16章 始まりと終わり
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「ちな………つ」
誰が監視しているか分からない中で、名前を言ってしまった。
言わないように気を付けていたのに。
デフォルトのホーム画面に自分の顔が写った。
とても、疲れた顔をしていた。
耳に触れ、今さっきまで聞こえていた声の名残を探す。
夢のように一瞬で過ぎ去った時間だった。
「くそっ…!」
近くにあった岩に携帯を投げつけた。
画面を下にして落ちたため画面の様子は分からないけれど、間違いなく液晶は割れているだろう。
それはもう、粉々に。
どうして俺の周りには馬鹿な奴が多いんだろう。
少しくらい相談しろ。
使えるものは使えよ。
お前らのためなら、何でもしてやるって。
お前らに頼られない方が辛いって。
「不機嫌だね」
4人もいたクラスメイトも、俺とこいつだけになってしまった。
「あのバカ、なんて言ってた?」
「…何も」
硝子とあのバカが、たばこは喫煙場所でしか吸わないこと!と約束してたのはいつだったか。
あのバカが、たばこの煙が蚊取り線香だったらいいのにと言っていたのはいつだったか。
「戻ってこないって?」
硝子は俺の様子を見て察したらしく、ため息一つ。
それから、俺の携帯を手に取って携帯を労った。
「余裕ぶってるから振られるんだよ」
「…」
「携帯も壊しちゃって。電源つかないし。もう電話かけられないじゃん」
「…番号は覚えてる」
「はは。そーですか」
俺はどこで間違えたんだろうか。
千夏と出会わなければ良かったのだろうか。
傑ともっと話をしておけばよかったのだろうか。
もう、何が何だか分からない。
もう、疲れた。