第15章 終わりと始まり

「もしかして、今まで千春の力を使ってきたっていうのも、嘘だったの？」

『…それは…説明が難しい。簡単に言うと、私が千夏の力を抑えてた。無意識に飴缶をぶっ壊して、力が湧いただろ？あれなら絶対に壊されないし、手放さないと思ってたから、あそこに呪力を移動させてたんだけどなぁ…』



私の予想通り、あの飴缶は私の力を抑えるものだった。

そして、千春の力の殆どは私を強くするためではなく、私の力を抑えるためにあった。



『千秋や千冬もそうだな。2人は100％の力を使って、千夏の力を抑えてた』

「…私ってもしかして、めっちゃ強い？」

『………調子に乗るな』

「少しくらい調子に乗らせてよ」



頭の中で千春が千秋千冬ペアに責められている。

千夏をいじめるな、と。



『……でも、ここまで強い呪いをかけられるくらいだから、個人として相当の能力があることには間違いないけど』



少し優越感。

千春に初めて勝った気がした。



『とりあえず、簡単に伝えることは伝えたけど。質問は？』

「少し整理させて」



千春の話は正直突拍子もない話だったけれど、自分の環境には謎を感じていたし、それが解明されて少しスッとした。




「私が使ってた呪言は、千春から与えられたやつだよね」

『そう。ずっと千夏の中に入れておくと、喋れなくなって不便だろうから、使わない時は抜き取ってた』

「そんなこと出来んの？」

『術式をコピーするって言ったけど、正確には術式を盗むの。優しい言い方すれば、拝借するって感じ』



千春の頭には沢山の術式があるみたいだけど、それを奪われた人達はどうなったのか…。

考えるのはやめておこう。