第15章 終わりと始まり
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『じゃあ、順番に真実を話していく』
「らじゃ」
地図を見ながら空港を順調に進んでいく。
正直なところ、方向音痴にとって空港は迷路同然。
しかも、愛華の住所にたどり着くためには、その迷路を2回もクリアしなくてはならない。
肩に乗っている千春は、淡々と話を進めるために1度咳払いをした。
『まずはこれを見て』
千春がそう言うと同時に、私の前に2体の呪霊が現れた。
思わず戦闘態勢をとりかけたが、それより先に千春の説明があった。
『これは呪霊じゃない。私と同じ』
「…どゆこと」
質問に答えてくれたのは、千春ではなかった。
《やっほほほほ…げげんき?》
〈ひひひさし…ぶり〉
声を聞いて驚いた。
『まだ術式あげてないから、上手く喋れてないけど…』
「…千秋と、千冬…?」
『そう。千夏は私だけじゃなく、2人にも呪いをかけた』
聞きたいことは山ほどあったけれど、感動の方が上回ったのは無理もない。
理不尽に死んだと思っていた2人が、目の前にいる。
泣いても仕方ないだろう。
けれど、千春はスパルタであり、普通に話を続ける。
『能力をあげるって言うのが、千夏の力を借りて使える私の術式ね』
「…は?意味分かんない」
千春は小さい頃から本当に頭が良かった。
それは先祖代々からの記憶のおかげだと言った。
ここまでは私も知っている。
しかし、それだけではなかった。
まず初めに記憶が伝えてくることは、『この力は他言無用。鍵と出会える子孫のために繋げ続けろ』
簡単に言うと、千春の家系は受け継がれる記憶の中に、出会った呪術師の術式のコピーを埋め込んでいた。
千春の家系の人たちは、そのコピーを人に与えることができた。
しかし、無条件に渡せるわけではなかった。
あくまで、千春達は鍵穴。
力を解放する鍵となる人物が必要だった。