第2章 ハグの効果
八乙女千夏は車に乗りながら考えていた。
五条に抱き着く理由を。
大真面目に考えていた。
「いきなり抱き着いたら流石にアウトか」
「そ、そうっすね」
嫌われず、かつ好感度が爆上がりするような言い訳はないだろうか。
「小さい頃は可愛かったんだよ、あいつも」
「八乙女さんは五条さんと幼馴染なんでしたっけ」
私が五条と遊んでいたのは一年くらい。
ある程度成長すると、呪術界から引っ張りだこ。
私と遊ぶ時間は無くなった。
それに伴い、私たちの関係は途絶えた。
「んで、高専で運命の再会ってやつっすか?」
「ちゃーう」
五条と再会したのは中学生の時。
私の能力が呪術界に見つかってしまい、そこでたまたま五条と再会し、今に至る。
「運命っすねー」
「だろ?」
そして、最初に戻る。
どうしたら、五条に抱き着けるか。
嫌われず、かつ好感度を上げる言い訳を考える。
「着きました。ここっすね」
禍々しい雰囲気が駄々洩れ。
正直行きたくない。
だって、こんなところに突っ込んでいく女の子なんてモテないでしょ、普通に考えて。
「ご武運を~~」
二級呪霊と聞いているが、明らかにその程度の呪霊でないやつがいる雰囲気。
全く。
正確な情報を伝えるのがそっちの仕事だろーが。