第12章 無駄な生と必要な死
「せんせー!せんせー!」
「うるさい」「ふぎゃ」
とある証明書を手にして、先生に突進。
顔面をがっしり掴まれたが、今は怒っている場合じゃない。
「見てよ。高卒認定書!ゲットしたよ~!」
「そんなの受けたのか」
「うん。これでいつでも退学できる!」「おい」
私がこんな紙切れを手にするために、どれだけ頑張ったか。
ここでは普通の授業を受けることも出来るけれど、私は1回も受けていない。
というのも、任務が単位になるから、普通の授業なんて誰も受けない(きっと。…私だけじゃないよね?)
何も無くても笑えるような精神状態になりながらも、隙間時間に勉強をして。
見事、1発合格をした。
試験を受けようと思ったきっかけは、みんなに常識がないと言われたから。
これを持っていれば、常識があることを証明されるはず。
「…その考えが馬鹿だと思うぞ」
「えっ、先生もそう言う?みんなにも同じこと言われたんだけど」
先生は証明書を見て、微笑んでいた。
なんか不気味。
「言ってくれれば、俺も手伝ったのに」
「いや、先生に聞く気は全くなかった」
「何故」
「だって、見るからに先生の頭の中って、パッパラじゃん?」
先生が拳を握りしめ、私は証明書で顔を隠す。
チラッと様子を伺えば、先生は肩を揺らして笑っていた。
「何笑ってんの。キモすぎ」
「いや…。千夏が”普通”に過ごせて、本当に良かったと思って」
「何。そんなに出世が嬉しいの?」
いつもだったらここで血管がピクっとなるのに。
今日は余程機嫌がいいみたいだ。