第69章 取捨選択
綺羅羅さんの術式もある程度把握出来たことで、何とか説得の段階まで持ってこれた。
虎杖の方もなにやら解決しそうで、まずは2人に今の状況を伝えることに。
やはり、五条先生の状況には想像することが馬鹿らしい事実であるため、それ相応の驚きを見せていた。
そして、夜蛾学長の件も。
パンダ先輩は辛い顔ひとつ見せず、感謝を述べていたが、傷ついていない訳では無い。
見ないふりをしているだけ。
「何となく把握したが…この中、あの女は何してんの?」
「…千夏さんのことですか?」
そういえば、どこにいるんだろう。
見張りが居なくなっていたから、そこまではきちんと働いてくれたはず。
……まさか迷子?
「近くにいると思うんですが…」
「え、いんの!?」
その存在が間近にいることに、2人は驚いたような、焦ったような顔を……いや、綺羅羅さんの方は何故か目が輝き始めた。
「え〜会いたいんだけど。電話しちゃお」
は?
電話番号知ってんのか?
それなら、千夏さんが電話して交渉すればよかったじゃないか。
あの人はほんとに…!!!!
「あ、久しぶりですー……え、ああ、みんないますよ。屋上。……やっぱり近くにいるんだ!早く来てよ」
その横で秤さんがめっちゃ嫌そうな顔をする。
「……なんでー?いいから早く……あ、来なかったら、えっと…悠ちゃんのこと殺すから……なんだっけ、そうそう、虎杖悠仁って子のこと……無理とか言わないでよ。じゃあ、伏黒…くん?に手出すからね、いいのね、純潔奪っ…」
「いい加減にして」
電話の向こうから微かに聞こえていた声が、俺の耳元にはっきりとした声で届く。
「何もされてない?」
「はい」
「良かった…」
グッと後ろから抱きつかれて、少々重い。
「その頬っぺ、どうしたの?」
俺の位置からは見えないけれど、きっと汚れていたり、少し傷がついていたのだろう。
「ドジった」
千夏さんも一言で済ませていたし、きっと大事では無い。
そして、このやけにウザったい腕。
いつもなら簡単に振り払った。
でも、震えていたから、もう少しだけこうしていようと思ってしまった。