第67章 隠し事
「9月頃かな。五条先生がわざわざ会いに来てね、君のことを頼まれたんだ」
もうすぐ交流会があるとか、終わったとか、その辺だった記憶がある。
去年、僕も交流会に出席したけれど、皆でわちゃわちゃするの、楽しかったなぁ…。
『五条先生!お久しぶりです!』
『やっほー、元気?』
『はい!皆さんお変わりないですか?』
『まぁね。うるさくってうるさくって…。元気な証拠だよね〜』
みんなとは会えていないから、久しぶりに電話でもしちゃおうかな?
なんて、考えた。
それから食事をとって、色々な話をした。
急に会いに来るとの連絡があったから、余程大事なことなのだろうと思っていたけれど、それは少し想像がつかない未来の話だった。
『ちょーっと嫌な予感がしてさ。僕になんかあったらいまの一、二年のことを憂太に頼みたくて……まあ、秤は大丈夫っしょ』
『何かって…女性関係ですか』
『…憂太も冗談言うようになったんだね』
『いや、五条先生に「何か」って想像つかなくて』
五条先生に「何か」があるとすれば、それは…
『八乙女さんにボコボコにされる、とか…』
『僕をなんだと思ってんの。え?』
五条先生が唯一敵わない相手。
色々な方面で振り回されているのを何度も見たことがある。
中には普通だったら許せないようなわがままもあったけれど、それでも五条先生は受け入れてしまうから…。
世間的に言えば、尻に敷かれる…というのだろうか。
『八乙女さんも元気ですか?』
『まぁ、元気元気よ』
『…?喧嘩中?』
『…実はね〜、』
ヘラヘラと笑いながら言われたのは
『別れちゃったんだよね〜』
先程から気になっていた「何か」の具現化だった。
きっと、五条先生が考えている「何か」とは異なると思うけれど、それほどまでに衝撃的で。
『え…?いつ!?どうして!?』
『1か月前くらいだね。1回殴り合いの喧嘩しちゃって。それと色々重なって。まぁ、色々あって別れちゃいましたー!』
いや、そんなに快活に言われても。
『殴り合いって…』
『途中で止められたから、お互い痣ぐらいで済んだよね』
そりゃあ、止めるよ。
止めなかったら、自分が死ぬかもしれないんだし。