第65章 家系
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「あれ」
さっきから感じていた、謎の圧が突然消えた。
「…誰かがやった?」
『かもな』
呪力の圧とはまた違って、でも初めて感じるようなものではなくて。
「一般人?」
『さぁな』
千春は瓦礫を1つ踏みつけて、飛び降りる。
「…知ってるでしょ」
『何を?』
「千春?」
『何?』
「もう…!」
具体的な距離は分からないけれど、近くで戦闘音はしなかったからかなりの距離はあるはず。
その距離を渡って圧力を感じるくらいの存在を、千春が知らない可能性は小さい。
絶対知ってるはずなのに、教えてくれないんだもん。
棘の引渡しは既に終わっている。
後は悟のところに行けば────
ドクン
私と千春は同じタイミングで歩みを止めた。
(え、なに…?)
千春の顔を見るに、偶然ではなさそう。
きっと、千春も感じたんだろう。
「…硝子?」
『どうした?』
「ううん、なんでも…」
私は千春がいるし、戦えるし。
でも、硝子のところは怪我人が沢山いるし…。
でも、あの子の考え方的に自分を守ることを優先してくれるか…。
あれ、何か忘れてない?
『…行くぞ』
「どこに?」
『あっちだ…』
最初はゆっくり、徐々に早くなる足について行く。
(…変な不安が消えない)
千春は振り向きもせず真っ直ぐに進む。
きっと、その場所であろうところに近づくにつれて。
私は千春を追い越して、自らその場所へ向かった。
「『…っ』」
嘘だ。
「ふ ざ け ん なっっっっ!!!!!」
そこに残されたのは、青くて、蒼い……私の宝物。