第65章 家系
「そこは別にいいんだけど……」
「硝子!」
奥から手当後の彼氏がやってくる。
「なんなんだコイツは!お前の友達だろ!?」
やかましさ全開。
周りの警察官が慌てて間に入る。
「話したら突然殴られて…!俺が何かしたか!?」
何か、って。
数時間前のやり取りを忘れたのだろうか。
「…なんだよその顔…」
「ごめん、面白くて」
「何が面白いんだよ…!」
肩を掴まれる。
これでも筋トレはしているから、どうってことないが。
「あ、お兄さーん。お怒りのところ申し訳ないけど、ひとつ聞いてもいい?」
さりげなく肩を払ってくれた五条は、そのまま私に体重をかけて続ける。
「殴られたのは置いといて、その前にこの子に何かしなかった?」
「はぁ?」
「あ、悟。ちなみに、千夏が殴ったのはあそこの部屋な。連れ込まれたんだと」
……なるほど?
千夏にも手を出そうとしたのかは知らないが、とりあえず個室に連れて行ったということは、それなりに人前でできないことをするつもりだったんだろう。
「連れ込んでねーよ。話があるって言うから個室貸してもらって…。こいつが「部屋に入ろう」って…」
「へぇ。その後は?」
「…てか、お前誰?俺は硝子と…」
「まぁまぁ。皆さんちょっと落ち着きましょ」
また喧嘩に発展すると思ったのか、警官が仲裁する。
こいつらが喧嘩早いのは知っているが、さすがに殴ることはしないはずだ。
「俺は何もしてねーよ」
「今回の件はさっき話し終えたでしょ」
「だーかーら、謝ってもらわねーと気がすまねぇって言ってんだろ」
ただでさえ怪我してんのに、と付け加える姿は何とも醜い。
嫌いな人が何をしても感情の悪循環を生むアレ。
本人に対する好感度がとても低いことが原因だ。