第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●小金井 慎二● 〜校庭〜
「あぁ〜!!“ホーホケキョ”って鳴く鳥な?!
分かる分かる!あれが“鶯”な?!!」
気持ちいいほど腑に落ちた。
そうだ、“ホーホケキョ”だ!!
ふたつの生き物が、オレの中で一つになった時。
他に言いたいことがあったかもしれない水戸部を遮って、大発見の公言と共に水戸部にグイッ!っと近づいた。
ビラを持ってるせいで、全身でこの喜びを表現できないのが残念だ。
「サンキュー水戸部!
なんかスッゲェーすっきりした!!」
そう伝えると、水戸部はどこか困ったように、ビラを抱えてない方の掌をこちらに向けた。
「あ、悪りぃ悪りぃ!嬉しくてつい!」
「落ち着け」と言ってきた水戸部に従って、前のめりにしていた体勢を戻した。
オレが離れると、今度はビラの山の表側をオレに向けて、遠慮がちにズイッ!っと差し出してきた。
「分かってる分かってる〜勧誘な?
この通り、ちゃんとやるって〜」
そう言って、自分の手の中にある山から1番上の一枚を手に取り。
道行く人に差し出すような仕草をしてみせた。
すると、水戸部は満足そうに。
小さく笑いながら、コクンと一回頷いた。