• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第13章 英雄ぶるのも大概に


●リコ side● 〜体育館〜


天の手を逃してしまったが、それだけで諦める火神じゃなかった。


「だから!口ばっかで楯突いてねぇで
 とにかくやってみりゃ良いじゃねぇか!!」

『やらねぇーったらやらねぇーんだよ!!
 お前みたいな礼儀知らずに、
 私の決意を馬鹿にされてたまるか!!』

「んだと!」

『何も知らないくせに…』


言い返してやりたいことは山ほどあった。火神からぶつけられた暴言の全てに一つずつ言い返して、今の状況に陥った正当な理由がある事を示したかった。
しかし、それを伝えることはおろか、自己弁護すら出来ないことに憤りを感じた。結果天の怒りの矛先は、火神に向かう以外なかった。


『私がバスケにかけた思いを
 愚弄するんじゃねぇーよ!!』


そう言うと天は、火神やバスケ部に背を向けて、再び体育館から去ろうと歩き始めた。


「おい!テメェ逃げんのか!!」

『どうとでも言いやがれ!
 こんなところいられるか…!!』


火神が呼び止めるのを聞くわけもなく、天は体育館の出入口を潜った。
重いはずの体育館の扉は、バタンッ!!という大きい音と共に、天の手によっていとも簡単に締め切られてしまった。


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp