第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜???〜
薄ぼんやりとした部屋で、天は目を覚ました。
『ん"…ん"ん…』
横になっていることはすぐに気づいた。眠りから覚めた時と変わらない。しかし、今は朝じゃない。更に言えば、ここは自分の部屋でもない。
雨音に紛れて聞こえてくる“音”が、天にそれを教えてくれた。1ヶ月も住んでいない馴染みのない部屋だとしても、これだけはハッキリと断言できた。自分の部屋は、ここまで空虚じゃないということを。
ちょっとした雑音。
自分が発した音の反響音。
家電や家具の震動音。
静まり返った部屋の中では、どんな小さな音も鮮明に聞こえてくる。天は今いる場所の“音”と、自分の部屋の“音”の違いを、敏感に感じ取ったのだ。
だとしたら、ここはどこだ?
そんな風に、寝起きの頭で必死に考えている時。
「気がついた?」
そう呼びかけてくる声で、天は目を開いた。