第11章 バスケットボールと花時雨
●天 side● 〜渡り廊下〜
そして、昼休みのことを思い出してハッとする。
『まさか、あの時図書室で鉢合わせたのって!』
「はい、藤堂さんを探してたんです」
黒子の答えに天は、納得したとでも言いたげに「あぁ〜」と溢す。
ところが、また何かを思い出したかのように、顔を顰めて考える素振りを見せる。
『でも黒子くん…確かあの時』
天がそこまで口にしたのを聞いて、黒子も口を開く。
「『 “会ってもらいたい人たちがいる”って… 』」
自分の声にぴたりと重なった黒子の声に、天は驚いて声の主の方を見る。
示し合わせたわけでもないのに、天と黒子の視線は空中でぴたりと重なる。
この瞬間、天はハッキリと理解した。
『それって、もしかして…』
黒子の言う、“会ってもらいたい人たち”…
それが誰なのかを。
その答えは、黒子の態度や行動が教えてくれた。
「勝手にすみません。バレてると思いますが、
バスケ部の先輩方のことです」
『だよな…じゃなきゃあのタイミングで
キャプテンが出てくることなんて』
「いえ、あの人はあまり関係なくて」
『え?』