• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第10章 チャイムの鳴る前に


●リコ/伊月 side● 〜1-B教室〜


リコは昨夜帰宅後、“藤堂 天”に関する記載があると思われる期間の雑誌、現地新聞、ネット記事…
その他諸々を探し出し、情報を集めたことを伊月に対して打ち明けた。


「伊月君、“藤堂 天”が月バスに載ってた、
 って言ってたでしょ?」

「あぁ」

「それらしい月バスも見つけた」


この時伊月は、あらためてリコの行動力、実行力の高さ。
監督としての責任感の強さを再確認した。


「私も同じものを見たわ。“藤堂 天”の姿もね」

「それで…成果は?」


伊月は期待に満ちた眼差しでリコを見つめた。


しかし、


「おそらく伊月君が知ってることと同じよ?」


リコは溜息交じりにそう答えた。


「てことは」

「“藤堂 天”の出身校の情報から分かった
 全中の勝敗の結果くらいね」

「それじゃ…知ってたのか。
 “藤堂 天”の中学が、去年の全中の」

「決勝戦で負けてるってこと。
 もちろん知ってた」


流石にその程度ならすぐに分かるか、と納得する伊月。
そしてその横で「けど、それ以外は全くダメね…」と、音を上げながら落胆するリコ。

           ・・
「それなりに有力そうなものは、何も掴めなかった」


伊月からの羨望の眼差しを断ち切るように、リコは目を逸らしながら言った。
地面に落ちたリコの視線に続くように、伊月は肩を落とした。


ところが…


「でもね」と始まったリコの次の一言で、伊月は再び視線を上げることになる。


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp