第9章 restart and redo.

●no side●　〜体育館裏〜


それからしばらくの間…


リコと伊月、そして火神の間で話が嚙み合わない事態に陥った。


しかしその原因が、


「誠凛（ここ）…
　バスケ部って男子しかねぇーの？？」

「今さらかよ？！」

「もぉ～どおりで話が食い違うわけよ！」


火神が、誠凛高校に女子バスケ部が無いことを知らなかったため、と言うことが発覚した。


しかし、それから先の話はスムーズだった。


日本一を期待されていた藤堂 天が、誠凛高校ではバスケを続けられないこと。
どれだけの実力者であったかは関係なしに、今はバスケをするきっかけがどこにも無い、ということに火神は気が付いた。

　　　　　　・・・・・・・
つまり、実質中学で終わってしまっていたのだ。


先ほどまでは「女子は女子でやってればいい」と、投げやりに考えていた火神だった。
しかしそれは、プレイする場が男子バスケ部と同等に用意されていることが前提だ。


藤堂 天という、元バスケ選手の少女。
そして、その少女が選択したであろう現状と、その違和感を正しく理解した時…


火神は不思議と、今朝の自分に起こった出来事を思い出していた。


火神の高校生活は、噓でスタートした。
「バスケ部に入部する」という嘘から。


しかし、火神はいつの間にか、その嘘を真実へと変える道を自ら歩み始めていた。


そして今、バスケ部に（仮）入部を果たし、練習メニューをこなし。
部活終了後には、バスケ部の先輩2人とチームメイト…と同時にクラスメイトである黒子と共に、体育館裏で密会のようなことをしている。


後半は想定外ではあったが、火神は既に嘘を真実へ変えることに成功したのであった。


だがもし…


ここに…誠凛に。


男子バスケ部がなければ、自分はどうしていたのだろう？