第6章 偶然目があっただけ
●no side● 〜1年B組〜
少女が見せた変化によって、2人の時間が再び動き始めた。
そのきっかけとは…
依然視線だけを交わす中、少女が徐々にその顔を赤らめ始めたのだった。
湯船でのぼせたように、顔全体を熱で赤くして…
顔の右半分が髪の毛で隠れていようと、それまで隠すことは出来なかった。
火神がそのことに対して、疑問を抱く間もなく…
未だ名前も知らないその少女が。
ガタンッ!という音を立てながら、勢いよく椅子から立ち上がった。
そして、
?「あ、あの!いや、違うんだ…です!!」
と、口早にまくし立てた。
赤らめた顔の前で、両手をブンブンと振りながら。
一方、椅子が立てた音の大きさに、多少驚いていた火神だったが…
「は?」
少女が自分に掛けた言葉の真意が分からず。
思わず乾いた声が唇から零れ出した。