第5章 噂話
●相田 リコ● 〜校庭〜
「あともうちょい欲しいかなぁー」
私はいま、バスケ部専用の入部受付ブースに腰掛け、キャプテンの日向君と一緒に新入生を待っている。
「10人いかないかぁ…」
「これから、これから。新設校なんだからさ。
これでインターハイ、
ウインターカップと勝ち進めば、
来年は大変なことになるよ」
そう言いながらニヤリと笑ってみせる。
そしたら、日向君は少し困ったように…
「主将の俺に対する
さりげないプレッシャーか」
「日向君、そんなに繊細だったんだ」
「頑張りますよ。頑張りますとも。」
そう言って机に突っ伏してしまった。
もう、しょうがないな〜
「勧誘の方はどうかな〜
頑張って有望そうなの連れてきてくれると」
そう言いかけた時。
ガタッ!という音を立てて、私の前にある長机が細かく揺れた。
「あ…」
目の端で捕らえたその小さな視界のブレに、私は素直に反射した。
「来ました〜。新入生〜。」
「え?」
それまで逸らしていた視線を戻して、目の前を見た時に。
よく知ったチームメイトが、泣きべそをかいてるのが見えた。
こ、小金井君?
…が、持たれている?!
?「バスケ部ってここか?」
「あ…」
座ったまま、声のした方を見上げると…
そこには、ウチの制服を着た男…の子?
赤と黒の髪に、鋭い目線。
その特徴に引けを取らないほどの大きな体。
一言で表すなら…“巨体”。