第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●小金井 慎二● 〜校庭〜
多分なんだけど。
その時聞こえてきたのは、“初めて聞く声”で。
覚えのない声が聞こえてきた方を見ると。
…実際は、“見上げる”って言った方が、オレが取った行動を正しく表現できるのかもしれない。
1人の男子生徒が、オレのことを真っ直ぐ見下ろしている。
いや、てか…
デ…デケェ!!
よく見たらめちゃくちゃデケェ!!
視界に真っ先に入って来た、“誠凛高校の男子制服”のせいで、“男子生徒”ってシンプルに判別したんだけど。
もう既に、それを訂正したくなっている。
けど、制服を着てるってことは…
やっぱり、“そう言うこと”なんだよな??
なんなんだコイツ…
まさか、新入生なのか?!
オレを見下ろしている、聞き覚えのない声の持ち主と。
ついさっき、オレの興味を一括りに掻っ攫っていった年下の女の子…
コイツが…“ポテチちゃん”と同級生?!
マジで?!!
その時のオレの体は…
得体の知れないその大きな影に、
すっぽり隠れてしまっていた。