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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️


🐿️







「………良かったあ、ハッピーエンドで本当に良かった……」

「ねえ君、ちょっと泣きすぎじゃない?」

ここはとある映画館内の八番シアター。
一組のカップルがたった今、恋愛映画を鑑賞し終えた所だ。

作品タイトルは〈霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている〉

女は彼氏と思われる青年からハンカチを渡され、両目から溢れている涙を静かに拭いていく。


「映画に出てくる彼があなたに本当に似てるから、私感情移入しまくりだったんだもん……」

「そう? 僕あんなに辛辣じゃないよ。 髪が長い所だけでしょ、似てるの」

「そんな事ないよー、凄く似てた!」

「わかったから……係の人が入って来たよ。まずここから出よう」

長髪の男は横で変わらず涙を流している彼女を立たせ、それから空になったポップコーンやドリンクの容器を入れたトレイを手に持つと、出口へと向かい始める。

後ろにいた女は両手が塞がっている彼の右腕に、スルッと手を絡ませ、男の後を付いていった。












「来場者特典、貰えて良かったね! 私、彼のカードが欲しいなあって思ってたから嬉しい」

「……そうだね」

「? どうしたの、何か機嫌悪い?」

「そんな事ない」

彼女に吐き捨てるように答えた男は手に持っているカードを、睨みつけるように凝視する。

「全然似てないんだけど……」

「……映画すっごく良かったから、また観に行こうよ」

「僕は一回でいい」

「えー!? そんな事言わないで〜」

「いや、行かない」


その後も押し問答を数回繰り返しながら、カップルは映画館が設置されているショッピングモールから仲良く出て行ったのである。



















「ねえ、無一郎さーん! また観に行こう?」

「絶対いや。しつこいよ、ゆずは一人で行って」




〜エピローグ おしまい〜



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