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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️



団子も食べ終わり、ゆずはは女将にお礼を言って2人で甘味処を出た。
後は真っ直ぐ屋敷に帰るだけだ。


「無一郎さん、今日はありがとうございました」

帰り道、ゆずはが立ち止まって無一郎に感謝を伝える。

「?、僕は何もしてないけど」

「お団子おまけしてもらえましたし、荷物を持ってくれるのもとても助かるんですよ」


いくら隠をしていて腕力があるといっても手は2本しかないので、1人で持ち運べる量には限りがある。
当然、1回の買い物で買える量も制限を受けるのだ。

鼓動は今もうるさいままだが、無一郎のおかげでいつもより多く買い物ができた。


「だから、ありがとうございました」


頭を下げるゆずはに礼には及ばないと返し、無一郎は甘味処で宇髄から耳打ちされた言葉を思い出す。


『大事にしろよ?』


言われなくても分かってるよ。


一緒に買い物をして初めて分かった。
ゆずはは町の人達から慕われている。

嫌われるよりずっといいけれど、何人かは純粋な謝意以上の感情を持っていそうだった。


僕が守らなければ。









帰りがけ、小間物屋の前を通ると店先にふと目が留まった。


透き通った硝子に淡く入る柚子色、

無一郎の目に留まったのは丸いビードロ玉。


暖かくて、柔らかい色、
まるでゆずはみたいな……


……そういえば、前に拾ったのは水色だった気がする。

初めて会った時、ゆずはが落としたのを拾って……



「無一郎さん、どうしたんですか?」

「……なんでもない」


無一郎が立ち止まったのを不思議に思い、尋ねるゆずはに短く答え、2人は家路についた。



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