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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第64章 霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている / 🌫️


🐿️

「誘って頂いた身でこんな事を言うのは申し訳ないのですが……ご一緒しても良いんでしょうか」

「勿論よ〜! 任務では何回も一緒になった事があるし、お話もしてるでしょう? 私、ゆずはちゃんとは一度じっくりお茶したかったの」

だから、こうして一緒にお店に入れて嬉しいのだ。蜜璃は花がパッと咲くような眩しい笑顔で、手に持っている品書きを開く。

柱は何故か無一郎を始め、煉獄・しのぶと容姿端麗の人物が多い。
蜜璃も例に漏れず、外見は華やかだ。

桃色の中に若菜色が混ざっている長髪に小作りの顔。
先輩隠の前田まさおが作成したと言う、力作(珍作?)の隊服からこぼれ落ちそうな胸元。

そして蜜璃と言えば…


「すみませーん! 桜餅三十個頂けますか?」

「甘露寺様、いつもありがとうございます。桜餅三十個ですね。お客様はどう致しますか?」

「私はくりーむあんみつとほうじ茶をお願いします」

かしこまりました ——
給仕に来た女子は、蜜璃の注文を戸惑う事なくさらりと受け止め、厨房へと向かった。


甘露寺蜜璃、そして煉獄杏寿郎の二人は鬼殺隊でも有名な健啖家なのである。


「恋柱様はこのお店の常連さんなんですね」

「そうね〜週に一度は来てるわね! 伊黒さんとも一緒に来るのよ」

「蛇柱、様ですか?」

「ええ、そうよ! でも伊黒さんはあまり食べないの。だけどね…私が食べる姿を見てると、気持ちが軽くなるっていつも言ってくれるの〜!!!」


それって…蛇柱様は恋柱様を??
ゆずはは無一郎への恋心を自覚して以降、他人の恋心も何となく察知出来るようになっていた。

つい先日まで恋の事はまるっきり未知の世界だったが、今の彼女は違う。

「ゆずはちゃん? あんみつとほうじ茶来てるわよ」

「あ、申し訳ございません…ボーっとしてました」

「…もしかして無一郎くんの事?」

「…えっ、あの、どうして…!!」


恋柱はふふっと含み笑いをしながら、早速桜餅をパクパクと食べ始める。
「美味しいわあ」と口にする蜜璃の前からは、器に積まれていた桜餅が次々に消えていく。


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