恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第41章 I want to be scarlet / 🔥
「夢中になるのは良い事だが、もう16時半。そろそろ見回りに出かける時刻だぞ?」
そう、今日は杏寿郎さんと見回り。そして今回の編成は彼と私の2人のみである。
「はい、わかりました」
記録帳を閉じ、筆を硯(すずり)に置いた後は太刀掛より日輪刀を外す。左手に持った私は彼と玄関に向かった。
「良かったですね、何も異常なくて」
時刻は21時に差し掛かろうとしている頃合い。先日の単独任務と同じように夜の賑わいで活気付く街中を2人で歩いていた。
「ああ、確かに!何もない見回りと言うのは本当に久しぶりだ」
私の左横を安心した表情で歩く彼は本当に嬉しそう。
— その時 —
ぐ〜っ〜〜〜 ・ぐぐ〜っ〜〜
私達のお腹がほぼ同時に鳴ってしまう。
「…………」 「…………」
右人差し指でお互いのお腹をさし合い、ぶっと笑いが込み上げた。
「あはは!安心したらお腹もすきますよね。そうだ、杏寿郎さん!この先の食事処の肉うどんが絶品なんですよ。行きませんか?」
「む!そこなら何度か行った事があるぞ。確かに肉うどんも絶品だが、俺は月見うどんが好みだ!」
「そうなんですね!以前蜜璃さんが食べてて、次は食べようってずっと思ってたんですよ。今日はそれにしようかな……」
そうして今夜の夕食……もう夜食か。私たちはうどんが待つ食事処に向かった。
「いただきます!!」
彼と食卓に向き合って座り、それぞれ注文したうどんを食べ始めた。
私は月見うどん、彼は肉うどんだ。
21時を過ぎた店内は深夜の勤務に向かうのであろう、作業着の男性達で6割が埋め尽くされていた。
この食事処は目黒川沿いで、お店のすぐ近くにガラスを製造する興業社がある。
そこの従業員だと思われる方達だ。