第71章 右手に陽光、左手に新月〜水柱ver.〜 / 🌊・🎴
ここは以心伝心。
鬼殺隊士の多くが利用する食事処だ。尚この店は甘味にも力を入れており、食事と同じくらい甘味の種類もある。
そこで会話をしている二人の鬼殺隊士。一人は竈門炭治郎でもう一人は沢渡七瀬
共に水の呼吸を使用する同期同士だ。
「水柱に継子志願したいの? 他の柱じゃなくて?」
「七瀬はどうしてそんな事を言うんだ? 義勇さんは凄い人だぞ!」
柱は凄い。
そんな事は彼女も重々承知している。
しかしある思いを抱いている七瀬はここから自論を展開していく。
「私、柱全員と一緒に任務した事あるんだけどさ、確かに皆さん頼りになるよ。やっぱり呼吸を極めてあの立ち位置にいる人達だからね」
「そうだろう? 柱の皆さんは凄い人達なんだ!! 」
七瀬は合同任務の際に自分から幾度も話を振ったり、義勇の思いを引き出そうとした事はこれまで何回もあった。
しかし、その度に撃沈しているのだ。
「水柱が何を考えているのか、全然わからないの。継子になるって事はきっと住み込みでしょ? 勿論通って指導してもらうのも可能だろうけど…」
柱の多忙さを考えればやはり住み込みが現実的であり、効率的だろう。
蟲柱・胡蝶しのぶの継子である栗花落カナヲも一つ屋根の下に住んでいる。
「会話しないと自分の思いもだけど、相手が何を考えているのかもわからないじゃない? 以心伝心って言うのはある程度お互いを理解している上で成立すると思うんだよね」
「そう言われると確かにそうかもしれないけど….それでも俺は義勇さんの継子が良いんだ」
炭治郎は好物のタラの芽の天ぷらを食べながら、彼女にその理由を熱く語っていくのである。
十五分後、二人は互いに注文した天ぷら定食を食した。さて話し合いの結果はと言うと ——-
「炭治郎の気持ちはよくわかった。そう言う事なら協力するよ。水柱の好物って何かわかる?」
「義勇さんの好物か?確か…」