第2章 幸せのカタチ 不死川実弥
不死川さんと会えなくなってから、1ヶ月経った。
その間私はいつも以上に働いた。
ひたすらに、がむしゃらに。
そうしてないと、不死川さんの事ばかり考えてしまうから。
流石に10日間無休で働いていたら「働き過ぎ!」と妙さんに怒られてしまった。
最近不死川さんが来ない事に、妙さんは多分何か気が付いていると思う。
でもあえて何も聞いてこない。
私から話すのを待っていてくれてるんだと思う。
この前店の窓から外を眺めこっそりため息を吐いていた私に、妙さんはそっと寄り添い、何も聞かずに頭を撫でてくれた。
今はもういないけど、お母さんに慰めてもらってるみたいで、今の私にはそれだけで嬉しかった。
そんなある日。
今日もひたすら突っ走りながら働く私に、声を掛けてきた人がいた。
「あのぉ…」
「はい!ご注文ですか?」
「ご注文…というかですね、えっとぉ」
「甘露寺、俺から伝えてやるか?」
「伊黒さんっごめんなさい!大丈夫よ」
あ、この人達は、不死川さんの…
そう思ったら、胸がきゅっと痛くなった。
「私に何か御用ですか?」
注文では無さそうだったので、用事かなと思ってそう聞いてみると、甘露寺さんと言う女の人は「はいぃ!」と頷いた。
「実は、そのぉ…」
「はい」
「えっと…」
「はい」
「……」
「……」
なかなか話出さない甘露寺さん。
もしかして恥ずかしがり屋さんなのかな?と思っていたら…
「あああのっ……私とっおおお友達になってくださぁい‼︎」
「……へ?」
なんと。
ひょんなことから私に新しいお友達が出来た。
隣にいた伊黒さんと呼ばれた人は、何故か頭痛そうに頭を抱えていた。