第1章 変わった犯罪者
オムライスを食べ終わると、李 刑事が差し出した現場写真や遺留品の写真などを見始める。
『それと、コレも見てくれ。』
李 刑事が新たに取り出した写真には1人の女性が写っている。
肩までの黒髪
切れ長の瞳
右頬から唇までにある大きい傷痕
『この人だれ?』
『…この事件の容疑者……なんだが…アリバイがある…』
『…容疑者?』
まず、この現場から
この容疑者の家はかなり近所だ。歩いて5分。
そして被害者との関係は長期に渡り、容疑者側がしつこく嫌がらせを受けていたようだ。
最近では、自分の飼い猫を拉致されて殺されたらしい。
さらに、目撃者もいる。学生服姿の容疑者が、現場から走って逃げていく様子を数人が見てる。
そして、家宅捜索の際に
現場にあった赤い糸と
黒い猫の置物、そして
スタンガンが見つかったんだ。
『ちょっと待ってちょっと待って?!
目撃者も居て動機もあって?さらに物的証拠でしょ?完璧犯人じゃないの!?』
『あぁ、俺を含め警察はまだ彼女を疑ってる。』
だが、アリバイがある。
彼女は事件当日、自宅から数キロ先にあるバイト先に居たんだ。
バイトの内容はペット・ショップの店員。
その日はトリマーを予約していた客もいて、6時間のあいだ、ずっと店に居たそうだ。
それは客も同僚も確認しているし、何よりも店の中にある監視カメラにばっちり彼女が写ってる。
『……なるほど…それは妙だね…』
『…あぁ…頼むはじめ、事件解決に協力してくれないか?』
『…もちろん、協力するよ!…この不可思議事件、俺が解決して見せるさ。』
ジッチャンの名にかけて!