第5章 第五章大きなワンコと変なおじさん
時の政府の無茶な要求に応えながらも現世と本丸を行き来する日々が続いた私は家を買うことにした。
マンションが良いと思ったのだが…
またしても祖父が別邸があるので使う様に言われた。
まぁ、本邸よりはこじんまりしているだろうけど。
マンションを借りた方が動きやすいと思ったのに、お祖父様が神様を狭いマンションに住まわせるのは心配だとの事だ。
目立ちたくないんだけど。
でもセキュリティーは大事だし。
「思ったんだけど」
「何?」
「僕も働こうと思うんだよね」
「はい?」
現世に住居を構えてすぐに光忠が言い出した。
「えーっと、働くとは」
「前に雑誌で見たんだけど、男性従業員接客店というのがあるんだろ?」
「これだね」
そう言いながら渡されたのは…
「これホストじゃない!」
歌舞伎町の夜の店、ホストクラブの紹介のコーナーだった。
「これも良いよね?」
「執事喫茶なんだけど」
何で、そんな物ばかり選んでくるの?
「執事喫茶とホストクラブは後々面倒だから普通のにして」
「ん?普通の?」
絶対に解ってないわ!
普通の喫茶店やレストランとホストクラブを一緒にしている!
「僕は、皆のサポートに回るよ。衣裳の着付が必要だろう?」
「歌仙…」
「俺も皆の手伝いをするぞ」
「獅子王」
ここに常識人がいて良かった。
「なら俺も働くぞ!とびっきりの驚きを!」
「大倶利伽羅!鶴丸の暴走を止めて、ついでに光忠の見張り役をお願いします」
「解った…」
慣れ合う気はないと何時もなら言うけど、事が事だけに仕方ないので納得してくれた。
「とりあえず普通の喫茶店でお願いします」
「うん?解ったよ」
絶対に解ってないわ。
けれど大倶利伽羅に見張りを頼めば問題は起こさないはず。
「とりあえず拠点は東京都にして、全国散らばる必要はあるわね…」
「なら年配者をお目付け役にするといい。俺や鶯丸のような者が適任だ」
「そうだ、まぁ菓子でも食べてゆっくり考えたらどうだ」
「そうね?その前にそのお菓子は何時の間に買ったのかしら?しかも留守番組が何故いるのかしらねぇ?」
本丸の留守番役なのに抜け出したわね!
「爺もたまには外になくてはな」
いけしゃあしゃあと!
絶対この二人をお目付け役にしたらダメだわ!