第7章 冷たい宅配便/小さな科学者と

｢そんじゃ行くぜ！先手必勝！！｣
｢あっ、元太汚ねェ！｣

陣地も決めず各自ポジションにもついていないのに、元太が勢いよくボールを蹴り始める
それをコナンがすぐに追い始めるのでオレも元太を抜かして急いでゴールへと向かうが、こっちのゴールでいいのか？
元太が走り出した方に向かったので間違いないはずなんだけど…

｢リュウ止めろっ！｣
｢えぇー！？｣

着いて早々元太の独走のままかよ！
サッカー得意なコナン君なら奪えるんじゃなくて！？
絶対ワザとだろ！

｢行くぜぇー！｣
｢させるかっ！｣

ポスッとしっかり元太のシュートを両手で止める
蹴って走るのは中学以来やってないけど、ボールをキャッチして止めるくらいならできるぜ！

｢リュウナイス！｣
｢イェーイ！｣

Vサインをコナンに送ると敵チームからブーイングが返ってくる
特に哀ちゃんのは本気にしか感じられないようななんとも鋭いブーイング
じゃあ次は止められない様に頑張ってくれよっ！

｢よっ！｣

両手で力一杯ボールをコナン目掛けて投げる
弧を描いてコナンに届くかなという寸前で哀ちゃんが間に入り早々に取られてしまった
哀ちゃんも結構本気なんだな…

ボールは光彦へパスされ、少し走ったところでまた哀ちゃんへと返ってくる
そしてオレの待つゴールの前で勝負を仕掛けてきた

｢行くわよ！比護さんお得意の無回転……っ！？｣


スカッ━━


｢おおっ！？｣


大きく蹴り上げた哀ちゃんの足はボールに当たらず、空を蹴りズテッと大きく尻もちを着いた
そしてその一瞬で見えてしまった…
哀ちゃん、そのニットの膝丈ワンピースの中、パンイチかよ…

｢おーい、何赤くなってんだよ｣
｢赤くなってないし！っていうかオレばっかり動かさないでコナンも早くボール奪いに行ってよねっ！！｣

ラッキースケベに遭遇し哀ちゃんの元に駆け寄るのを忘れていると、誰よりも早く光彦が駆けつけ、手を差し出していた

｢すみません！ボクがもっといいパスを出せば…｣

そんな気遣いを出来るのも光彦の良いところなんだろうなと思ったが、哀ちゃんはその手は取らず｢ニャー｣と近づく猫の方へと向きを変える

｢この仔がボールのそばに飛び出してきたから蹴れなかったのよ…｣
｢猫…？｣
｢大尉じゃねーか！｣

｢ニャー！！｣

どうやらこの猫はコナンの知り合いらしい…