第2章 再び始まる
「…そこまでにしとけよ、ジャン。それ以上エレナを侮辱すんなら今日からお前は飯を食えなくなるぜ…」
「ほう…?それはどういう意味だ」
挑発的なエレンにジャンは目を細め怪訝そうな顔をする。
「そのまんまの意味だ。そんな事も分からないのか?それにお前にエレナの何が分かんだよ…」
「はぁ?分かるわけねーだろ、死にたがり女の思考なんて」
二人の論争は止まらない。
しかしジャンのその言葉を聞いてこれまで怒りに染まっていたエレンの表情が陰る。
「死にたがり…?違う、本当に誰よりも生きていたかったのはエレナなんだ…。誰よりも皆んなの…」
「…さっきから意味わかんねぇことばっか言ってんじゃねーよエレン。つまり、お前は何が言いたい?」
「…もういい。お前が本当に賢いってんならその言い訳だけが得意な口を閉じてろよジャン。お前にエレナを理解出来るはずがない。それにエレナを理解して良いのは
"オレだけ"だ」
そう言い切った後、エレナへの侮辱の数々によりエレンの瞳には再び燃える闘志が宿った。
双子である以外の理由も含まれていそうなエレンの言葉に再びジャンはニヤニヤと茶化すような態度をとる。
「へぇー…。ほんとにお熱いこって。フランツとハンナですらお手上げするくらいだなぁこりゃ。…まさかお前らデキてんのか?」
何を言っても馬鹿にした態度で返すジャンにエレンは真面目に対応するのをやめた。
「…めんどくせぇ」
「へっ……」
狼煙が上がった───────、
バキッ…‼︎
鈍い音がして両者の拳が相手の顔面にヒットしていた。
うおおぉぉ…!
また始まったぜ‼︎
二人の様子を見守っていた人達は突如始まった殴り合いに興奮し出した。