第26章 慟哭
「あ、中、いっぱいっ…すごッ…」
「っ…さん…」
俺の吐精が終わると、ゆっくりと腰をあげてオレのをズルっと抜いく。
そのままオレの手の拘束を解いた。
「あの…ごめん…………俺、風呂で処理してくるから、帰っていいよ」
シャワーからあがり、体を拭いてリビングの扉に手をかける。
自分で帰っていいと言っておきながら、その姿を求める自分が情けない。
千冬、いるかな。
いなかったら寂しいな、嫌だな。
でもきっと、もう帰っただろうな。
そんな思考をぐるぐると巡らせ、緊張しながら扉を開けた。
「………はは、やっぱり……」
そこに千冬の姿はなかった。
「…………ッ!」
急に体の力が抜ける。
その場に崩れ落ち、嗚咽を漏らして溢れる涙を拭うことしかできない。
「っ………千冬ぅ……ッ…」
九条と付き合えないから他の人に手を出していると言っていた。
違う、見当違いだ。そんなわけない。
そうだとしたら、わざわざ離れたとこに住む人間を選ぶ必要はない。
暇つぶしならあのふてぶてしい雪村でも誑かして遊んでいればいいのだ。
「ッ、なんもわかってねぇじゃん…………千冬のバカ…………!」
「バカはあんたでしょ」
後ろから優しく抱擁される。
「えっ…………千冬?!帰ったんじゃ…!」
「はは、また泣いてる」
「な、お前…!どこいたの…!?」
「トイレですけど。戻ってきたら泣いてたからちょっと隠れてました」
「っ〜〜〜〜!」
ただでさえ恥ずかしすぎて死にたいのに、からかうように笑ってくる千冬に腹が立って顔面に向かって拳を突き出すが、軽々避けられる。
流石、東卍の副隊長。
「もう、やだ。死にたい。殺してくれ」
「むり。こんな可愛いとこみたらもう離れらんないですよ」
そういって力を込めて抱擁される。苦しい。
「今のでわかりました。オレが九条さんの代わりじゃないってことも、脈アリだってことも」
「っ………!」
「耳まで赤くして、可愛い。愛してますよ。
そうとわかっちゃったら、オレもう遠慮しないんで」
そう言って口付けを落とす。
優しいキスに安心した。