第33章 追憶
「……すごいっすね、三ツ谷くんは」
「そうか?オレからしたらお前もすげーよ。あいつと関わるの、怖くねえのかよ」
「そんなの三ツ谷くんも同じじゃないですか。……怖いっすよ、でも、さんがいなくなる方が、よっぽど怖いです」
「…………そうか」
頭がどうにかなってしまったのだろう、甘い花の香りにあてられた蜜蜂のようだ。
もし当事者でなかったら。自分の立場が、例えばクラスの友達だったのなら。
間違いなく殴ってでも関わりをやめさせるだろう。
危なすぎる。いつ自分が巻き込まれて死ぬかもわからない。そんなのはわかっている。
場地さんがもしこの世にまだいてくれたなら、止めてくれたかもしれない。千冬、いい加減目ぇ覚ませ。そういって自分を殴ってくれただろうか。
これ以上考えたら気が滅入りそうで、俺はペットボトルを呷った。