第8章 大切で残酷な暖かい過去
エドゥアルが来た日から2日経った午前。
ユリスはレティシアとジルヴァを家の前に並ばせた
レティシア
「何をするの?」
ユリス
「家族写真を撮るんだ」
レティシア
「…家族写真」
ユリス
「そうだ。…俺等は家族だろ?」
レティシア
「うん」
少女が頷くのを見るとユリスは三脚に乗せたカメラを彼女達に向けた。そして、レティシアの隣にしゃがむと幼い肩を抱きジルヴァの背中に手を置いて笑みを浮かべた。
レティシアは、それが嬉しくて笑顔を見せた
それを確認したユリスが魔法でシャッターを押すと、カメラがしっかりと記録する
レティシア
「アップルパイだ…!」
ルシアン
「この前、レティシアが母さんのアップルパイ食べて喜んでただろ?それを、母さんに言ったら喜んでね」
レティシア
「嬉しい。このアップルパイ…好き」
ルシアン
「良かった。レティシア、飲み物を淹れよう。手伝ってくれる?」
レティシア
「…うん」
この日ユリスは久々にゼフィランサスで仕事をしていた。
その為、学校が休みだったルシアンがユリスの家で一緒に留守番をする事になった。
ルシアン
「美味いか?」
レティシア
「うん…美味しい。ね、ジル」
ジルヴァ
「うにゃ…!」
共にアップルパイを食べていたジルヴァが、返事をするように声を上げる。
ルシアンは出会った時とは別人のように表情が変わるレティシアの姿を、どこか安心するように見詰めていた
ルシアン
「レティシア」
レティシア
「ん?」
ルシアン
「最近、家には帰ってる?」
レティシア
「たまには気配がないと、変に思われるから…って…たまに帰ってる」
ルシアン
「そうか…」
レティシア
「でも、ユリスが魔法教えてくれたから家に帰っても…怖くないよ。…魔法は、あんまり使いたくない…けど、叩かれる方が…嫌だから」
ルシアン
「そっか。レティシアは偉いね」
レティシア
「…ありがとう、ルシアン」
子供らしい笑みを見せるレティシアを見てから、ルシアンはアップルパイを食べた。
それから、ユリスが帰宅するまでのんびりして過ごし1日を終えたのだ。