第30章 貴方を超えて
暫くしてレティシアは外の空気を吸おうと屋上へと出ていた
リアム
「レティシア」
レティシア
「リアムか」
リアム
「…皆、楽しそうだな」
レティシア
「嗚呼」
リアム
「なぁ、レティシア」
レティシア
「ん?」
手摺りに腕を預けながら隣に立つリアムをレティシアは見上げる。リアムはどこか言いにくそうに、それでいて少し照れている様な視線を彼女へ向ける
リアム
「…俺と付き合って下さい」
レティシア
「え」
突然の言葉にレティシアは固まった。
リアム
「い、いや…こういうのはちゃんとしとかねぇと駄目かなって」
真面目だな、とレティシアは思いながら人差し指で頬を掻くリアムを優しい笑みを浮かべて見詰めていたが…いきなり彼の後頭部へ片手を回すと引き寄せ、唇を重ねる
リアム
「……っ…」
レティシア
「当たり前だろ」
僅かに離した唇の間でレティシアが囁くと、リアムは嬉しそうに笑いながら彼女の細い身体を包み込んだ
リアム
「ありがとう」
レティシア
「ふっ…こちらこそ」
リアムの背中にレティシアの腕が回り、2人はちゃんと生きている事と幸せを確かめる様に抱き締めあった。
─バンッ
ルシアン
「いた」
レティシア/リアム
「…っ…!?」
突然開いた扉に驚いて2人は弾かれたように離れる。
ルシアン
「仕事だ」
レティシア
「はぁ…本当に休みが無い」
リアム
「暴走化の仕組みが分かりゃな」
レティシア
「無理だろ。これは自然発生だしな」
ルシアン
「それが無くなったら俺等の仕事も無くなるぞ」
レティシア
「そりゃ、困った」
リアム
「本当に困ってんのかよ」
屋上に笑い声を残して大型魔獣を鎮めに3人は去っていった