第29章 終わりにしよう
ウェディー
『これを空から降らせると暴走した魔獣は鎮まるわ。ちなみに人間には何の影響もないわ』
レティシア
「ふっ…流石はウェディーだな」
ウェディー
『ふふ…借りは返さなくちゃ』
レティシア
「ありがとう。…ジルと前に話したポルデをそっちに向かわせる。2人にそれを渡してくれ」
ウェディー
『分かったわ』
手短に会話を終えるとレティシアは全員の顔を1度見る。絶対にエドゥアルの好きなはさせないと、眉間に力がこもる。
すると、ルシアンの人差し指がレティシアの眉間に押し付けられた
ルシアン
「力み過ぎるな」
ノア
「そうだよ。オレ等が居るんだから、姫さんだけで頑張ろうとすんなよ?」
レティシア
「嗚呼、分かってる」
ソフィア
「あの…」
リアム
「?」
ソフィア
「司令官様が…レティシア様、とルシアンさんを…お呼びです」
レティシア
「分かった」
その言葉を受けてレティシアとルシアンは司令官室へ向かう。
メディ
「いよいよだね」
レティシア
「嗚呼」
ルシアン
「外の状況は、把握していますか?」
メディ
「嗚呼、勿論。動ける者にひとまず小型魔獣のみに限定して鎮静薬を投与している」
レティシア
「そうか」
メディ
「レティシアくん、これを持っていきなさい」
ことっと音を立てて机の上に置かれたのは黄色い石の結晶のようなものだった。それをレティシアは手に取りながら首を傾げる
レティシア
「何だこれは」
メディ
「私の魔力を込めた石だ」
レティシア
「魔力…マナの結晶が無い今そんな事をしたら…」
メディ
「大丈夫。必要分は残しているよ」
ルシアン
「司令官…」
メディは柔らかい笑みを浮かべると優しく2人を見詰める。その瞳は司令官では無く父の様な温もりがあった。
メディ
「ここには魔法使いがいるから大丈夫。そっちは任せたよ。彼を…エドゥアルくんを止めてあげてくれ」
レティシア、ルシアン
「嗚呼/はい」
2人が司令官室から去っていくのをメディは心配げに見詰める。彼等なら大丈夫、そう思っていても…やはり少しだけ心配は残るのだった