第28章 大型魔獣と突然変異
それからレティシアは再び口を開く
レティシア
「もしかしなくても人獣の研究に関わってたの…あのくそ所長だろ」
メディ
「嗚呼、君の言う通りだ」
レティシア
「やっぱりな。…あのくそが」
ルシアン
「レティシア」
レティシア
「仕方ないだろ。くそはくそだ」
ルシアン
「ったく、お前は…」
いつも通りのやり取りを目の前で繰り広げる二人を見て、メディの頬が気が付けば緩んでいた。
それに気が付いたレティシアは怪訝そうな表情を浮かべる
レティシア
「何だ、にやけて」
メディ
「にやけてないさ」
レティシア
「にやけてる」
ルシアン
「レティシア、また話しが逸れている。話したい事があったんだろ」
メディ
「話したい事?」
ルシアン
「はい」
何だろう、そう思いながらレティシアへ視線を向けるとへの字に曲がっていた唇から息を吐き出して視線を重ねる
レティシア
「訓練場でメディと話したおかげで…魔法を選べる様になった。仕方ないで使うじゃなく躊躇なく使えるようになったんだ。だから、ありがとう」
メディ
「レティシアくん…」
彼女からの言葉にメディは驚いて僅かに目を丸くする。
その表情に恥ずかしくなったレティシアは顔を背けてしまう
ルシアン
「ま、身体を張ってしまうのは変わらないです」
メディ
「はは…それはレティシアくんらしくて良いんじゃないか。君もそう思っているんだろう?」
ルシアン
「はい。…前はただ心配だったんです。いつか無理し過ぎてこいつが居なくなるんじゃないかって。…でも、魔法を選べる様になった事でその可能性が少しでも減って、俺は嬉しいです」
メディ
「そうか…そうだね」
レティシア
「も、もう良いだろ…この話」
メディ
「何でだい?私はもっとしたい所だが」
ルシアン
「俺も出来るぞ」
レティシア
「勘弁してくれよ…」
基本的にはペースを乱したり、巻き込んだりする側のレティシアだがこの二人や特別室メンバー等の気を許した者にだけ逆転する事がある。その珍しさに二人は肩を揺らして笑った