第27章 彼女の地雷
レティシア
「ありがとな、リアム」
リアム
「あぁ?何もしてねーよ」
レティシア
「んな事ねぇよ。…私はメディと話してから躊躇無く魔法を使えるようになった。……でも、時々不安になる…間違ってんじゃねぇかなって」
先程まで柔らかく笑んでいたレティシアは自身の掌を見詰めながらそう零した。リアムは迷わずその掌をぎゅうっと強く握る
リアム
「間違ってねぇよ。躊躇してるうちにやばい事になってた"かもしれない"…その"かもしれない"をレティシアは未然に防いでんだ」
レティシアを覆う分厚い曇り空を簡単に吹き飛ばしてくれる様なリアムの強く、正直な言葉に彼女は助けられる。
レティシア
「はは…痛てぇよ」
リアム
「…っ…悪ぃ」
迷わず握ってしまったのは無意識だった様で、レティシアの指摘で気が付いたリアムは慌てて手を離す。
レティシアの中でも確実に何かが変わっていた。…あの日、母に呼び出された日以降…リアムに対する何かが少しずつ変わっていた。
レティシア
「リアム」
リアム
「ん?」
レティシア
「ありがとな」
リアム
「……っ…」
ソファに立てた両脚の膝に右こめかみ辺りを当ててリアムを見上げて柔らかく笑むレティシアは、とても綺麗で…それでいて可愛くてリアムは思わず固まる。
色んな感情と出来事への思いが詰まったような感謝の言葉は、とても深くてリアムは星空に目を向け
リアム
「……おう」
そう小さく返すのみだった。だが、その耳は赤く染っている…。
ルシアン
「ふぁ……、ん?」
翌朝、ルシアンが欠伸をしながらリビングに入ってくると予想外の光景を目にする。
レティシアがリアムの肩に頭を乗せ、その頭にリアムの頭が預けられ…寄り添って眠る2人の姿。
ルシアン
「たくっ……こんな所で寝やがって」
ノア
「あ、ルシアンくん…おはようござ……ああ!?!?」
ルシアン
「ノア五月蝿い」
ルシアンの後に起きてきたノアはその光景を見て衝撃を受け、思わず大きな声をあげてしまう。
その声に反応したレティシアとリアムが目を覚ます